『BLUE GIANT』9巻・10巻のネタバレと感想!楽器一つで世界を目指す現実派マンガ

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こんにちは!
今回のネタバレ漫画は「BLUE GIANT」です♩

BLUE GIANTは宮城県仙台市に住む高校生・宮本大がある日聞いたジャズの曲に雷を打たれ、サックスプレーヤーを目指す物語。

大はどこにいってもひたすらサックスの練習を続けるまっすぐな性格で、さまざまな人と出会いながら苦難を乗り越え、成長していく様が描かれます。

この先ネタバレがあります!
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『BLUE GIANT』9巻のネタバレ

9巻は『ジャス』のメンバーが『カツシカJazz Festival』に出演するとこ炉からスタートする。

このフェスティバルの中で『ジャス』は人気ジャズバンド『Act』の前座という位置付けで出演するが、見事主役を喰うようなパフォーマンスを見せる。

その後、『ジャス』はライブの動員数もファンも増やし、一つの到達点へと近づく。

その中で語られるのが、雪祈と大の過去との決着だ。

救われる雪祈
5巻では雪祈の実家は長野県の松本市でピアノ教室をやっていることが語られる。

かつてその教室に1人の女の子が通っていた。幼い頃の雪祈は彼女がピアノを弾くのを見て音楽の楽しさを知った。

でも、彼女は突然引越しをしなければならなくなり(おそらく夜逃げ等の家庭の複雑な事情)、ピアノ教室を辞めてしまう。雪祈の母は彼女に「ピアノ続けてね」という言葉をかけたが、それはピアノがもう続けられないと分かっているからこそかけた言葉だった。

彼女がピアノを続けられないだろうということは幼い雪祈にもなんとなく分かった。

そして、雪祈は「音楽をやれているのが幸せだとしても、それは勝っている間だけだ」と考えるようになる。

音楽で幸せを感じるためには、音楽を続ける必要があり、音楽を続けるためには勝ち続けなければいけないというのが彼の考えなのだ。

5巻ではその女の子がどうなったかはわからないが、9巻で彼女は『アオイ』という名前を持って物語に再登場する。

『ジャス』のライブに観客として現れたのだ。

そして、アオイは音楽を続けていた。

そんな彼女の前に雪祈は「音楽やってて良かったです…音楽やってくれてて良かったです…」と涙を流す。

この場面は、「勝ち続けなければ音楽で幸せは感じられない」というかつての雪祈の考え方が「音楽で得られる幸せがあれば勝ち続けることができる」というものに変わった瞬間ではないだろうか。

これは、平に演奏を酷評され、苦しんだ雪祈だからこそ辿り着けた答えだろう。

大の失恋
大には高校生時代に友達以上恋人未満の相手・三輪がいた。

ある日彼女が突然東京に現れる。

そして、アルバイト先に好きな人ができたことを告白し、1年間ほとんど連絡をよこさなかった大に別れを告げる。

1年間三輪は何を考えていたのだろう。おそらく彼女は大に好意を寄せていたはずだし、アルバイト先の友人から告白された時も大に相談をしたかったのかもしれない。

2人のどちらかがもう少し連絡を取っていれば、2人の関係性はこの結末とはもっと違ったものになったはずだ。

でも、大も連絡をしなかったし、三輪から連絡することもなかった。

大はジャズに没頭し、三輪はそんな状況を察して連絡することが憚られたのではないのだろうか。「大の中に自分がいてはいけない。彼が音楽と真剣に向き合う邪魔になってはいけない」と思ったのではないだろうか。

僕には、三輪は大に別れを告げるのではなく、三輪自身の心の中にいる大に別れを告げるために上京したように思えてならなかった。

最高のチームになる『ジャス』
過去に決着を着けた雪祈と大。

そして、『ジャス』は最強のチームになりつつあった。

『ジャス』というバンドのチーム化については、6巻のレビューで書いた通りだ。

良いチームになるには必ず次の3つが必要だ。

共通の目的があること(ビジョンやベクトルの共有)
役割分担の明確化
メンバー間の人間関係の強化
これまでの巻では、主に2と3を中心に『ジャス』が1つのチームとなっていく様子が描かれていたが、9巻で明示されるのは3だ。

今までは雪祈だけが口にしていた「SO BLUEのステージに立つ」という夢が初めて大の口からも語られるのだ。

ここで彼らはただのチームからチームに必要な3要素を全てもつ『最強のチーム』になる。

そして、物語は終章へと向かっていく。

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『BLUE GIANT』10巻のネタバレ

10巻は雪祈が一足早くその目標を達成する場面から始まる。

実現する雪祈の夢
海外ジャズバンドのピアニストが急遽出演ができなくなったため、彼はその代役として平から指名され、『SO BLUE』のステージに立つことになったのだ。

長野の田舎で育った雪祈。

彼はつき指を恐れ、学校のバスケットボールの授業は見学をしていた。

小学校6年生の時には「中学生になったら、もっともっとピアノを練習して、いつか日本一の舞台で演奏します」という夢を語った。

手を大きくするため、毎日寝る前に指を引っ張った。

プールの時間には水中で指を動かし、トレーニングをした。

一緒にジャズをする仲間を探していたが、趣味が合う仲間にはなかなか出会えなかった。バンドを組んでもジャズの難しさや雪祈の厳しさが原因で仲間は離れていくばかりだった。

そんな彼が大に出会い、『ジャス』を結成し、まずは1人だけだけれど、夢の舞台『SO BLUE』に立つことができた。

雪祈の演奏は平が鳥肌を立て、大が思わず心からの笑みを漏らすほど「自分に正直」で「内臓をひっくり返す」ほど感動的なものだった。

演奏後、雪祈はトイレで1人自分の両手を見つめ、「できた…」と呟き、涙を漏らす。

それは初めて夢の舞台に立てた感動でもあり、プレッシャーを跳ね除けた安堵でもあり、追い求めていたプレーができたことへの充実感でもあった。

ジャズを信じる者
雪祈の名演の甲斐あって、『ジャス』はバンドとして『SO BLUE』に出演することになる。

雪祈はそれをジャズバー『TAKE TWO』で大、玉田、そしてバーのママであるアキコに同時に告げる。

「そう…良かった」と冷静にお祝いの言葉を告げるアキコ。

でも、アキコは盛り上がる3人に背を向け、1人泣いていた。洗い物をする音で自分の泣き声を搔き消しながら…。

8巻のレビューでも書いたが、孫がいる年齢になっても1人でジャズバーのママを続けるアキコの人生は誰から見ても幸せなものだとは決して言えない。

見る人によっては、彼女は夢を諦めなかったばかりに、一般的な幸せを手に入れることができなかった女性だ。

でも、『ジャス』が夢を叶えたことで、同時に彼女の夢も叶ったのではないのだろうか。

アキコの夢は、彼女よりもジャズを信じる者達によって実現されたのだ。

あまりにも巧みで残酷な演出
『ジャス』の『SO BLUE』への出演に向けて集客やCDのリリース等の準備が着々と進んでいく。

でも、そんな中、雪祈が工事現場でのアルバイト中に居眠り運転をするトラックに轢かれてしまう。

そして、彼の右手は一目見て「もうピアノを弾くことは無理だろう」と誰もが感じてしまうほどに、文字通り破壊されてしまう。

僕は初めてこの場面を読んだ時、作者を恨んだ。

「物語を盛り上げるためになぜこんな演出をするのか…」

「本当にこの場面がこの漫画には必要なのか…」

雪祈が『SO BLUE』に1人で出演している際にフラッシュバックされた彼の過去のエピソードは、演奏時は雪祈の輝きを増す要素になっていた。しかし、事故に遭ってしまったことで、それらの要素は一転して悲劇を増す要素になった。

雪祈がバスケットボールの授業を欠席してまで守った指が、手を大きくするために毎晩引っ張った指が、プールの中でもトレーニングを続けてきた指が、事故によって粉々にされてしまったのだ。

1つのエピソードを栄光と悲劇に効果的に用いることができるのは、作者の物語作りが巧みだから。でも、僕はこの場面で起きたことが信じられず、しばらくページを前に進めることができなかった。

雪祈を失った『ジャス』だったが、大は玉田と2人だけでステージに立つことを決意し、徹夜で練習を続ける。

大は立ち止まらず、前に進むことを選択し、見事『SO BLUE』でのライブは大成功を収める。

演奏の最後、大が語る「本日演奏した曲はほぼ全て、ピアニスト沢辺雪祈が作曲した曲です」と語る場面は感動的だ。

『ジャス』は確かに3人でステージに立ったのだ。

示されるかすかな希望
『SO BLUE』での演奏後、大と玉田は雪祈が入院する病院に行く。

そこで、雪祈の言葉により、『ジャス』は解散することになる。

雪祈の事故があまりにも衝撃的で、それをずっと引きずり続けながら読み進めた最終巻だったが、後から読み返してみると、かすかに希望が感じられる場面が多々あることに気づいた。

事故に遭う前、雪祈は夜に作曲作業をしながら「そうか…そうだったんだな…オレは、曲を創るのが…」と1人感じる。

余韻の後に語られるべきだった言葉は、練習の後、大と2人で歩く場面で語られる。

「オレ、『作曲』が好きだ。ボクシングみてえに瞬間瞬間に打ち出すソロはずっと憧れきたし惚れてる。でもオレは考えて練って、その結果感じて、それから一つ一つ紡ぐ音作りも好きなんだって分かりました」

物語の最後、大は外国に行くことを決意する。

出発間近大が電話をすると、雪祈は震える左手で楽譜を書いていた。

大は電話越しに伝える。

「オレは、お前のピアノが好きだ。もしかしたら、オレが一番のファンだ」

その言葉を聞いて雪祈は涙を流す。

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『BLUE GIANT』9巻・10巻の感想!

10巻で「BLUE GIANT」は終わりを迎え、次回は「BLUE GIANT SUPREME」に続き、大の活躍の舞台はドイツに移ります。

9巻、10巻では憧れのSo blueでの演奏を前に、雪祈が交通事故に遭い、雪祈不在のまま演奏が行われます。

この交通事故は、作者のご都合主義だ、なんだといった意見をネットで見ることができますが、感動的な話になっているのは間違いありません。

大は悲劇的な結末を迎え、悲しみを抱えながらも次なるステージに進みます。

将来、雪祈がどのように立ち直っていくのかも期待しながら、読み進めていきたいですね。

(ネットでは左手で演奏するピアニストになるのか?作詞家、作曲家になるのか?などいろいろな憶測がされています。)

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